不登校対策 見落としがちな重要ポイントとは?
突然ですが、日本とアメリカにおける大腸癌で苦しむ患者数の推移をご存じでしょうか。一見、不登校とは関係がない事柄にも考えられますが、実は不登校対策における重要なポイントが隠されています。
意外な結果と考えられるかもしれませんが、日本では大腸癌で苦しむ患者数が増加を続けているのに対し、アメリカでは減少を続けています。
この要因は医療レベルの差でしょうか?
日本の医療レベルは世界でも上位であり、大きな要因ではないようです。
実は、大きな要因は検診受診率にあります。
つまり、早期発見・早期対処です。
癌は症状の進行に比例して治療期間は長くなり、治療難易度も高くなってしまいます。
アメリカは高額な医療費の問題もあり、対処医療に対する意識が高く、大腸癌検診受診率が日本に比べて非常に高い水準にあります。検診による早期発見・早期対処が推進されていることで大腸癌に苦しむ患者数が年々減少傾向にあると考えられています。
不登校対策の見落としがちな重要ポイント①
近年、増加傾向にある不登校問題も同じく早期発見・早期対処が大切だと考えられます。
不登校の原因は、無気力、家庭環境、いじめ、友人間トラブルなど様々だといわれますが、ある日突然に不登校となることは少ないと考えられています。
STAGE0:きっかけになる出来事や日々の何気ないストレスの積み重ね
STAGE1:気分の沈み込みや漠然としたモヤモヤが加速
STAGE2:初めて学校を休む
STAGE3:学校を休みがちに
STAGE4:完全不登校
と段階的に移行することが大半です。
不登校対策は、STAGE3以降を対象とした児童・生徒のケアばかりに着目されがちですが、STAGE1・2を察知し、不登校になる児童・生徒を増やさないこと(早期発見・早期対処)にも着目することが重要なポイントです。
不登校対策の見落としがちな重要ポイント②
もう一つ見落としがちな重要ポイントは、「橋渡し」です。
昨今では、不登校になってしまった児童・生徒へのケアとして、スクールカウンセラーの増員やフリースクールとの連携、放課後教室など様々な施策が積極的に行われ、不登校になってしまった児童・生徒にも多くの選択肢が用意されています。
しかし、注意しなければいけないことがあります。
多くの選択肢が用意されている反面、その中から児童・生徒が自分自身の悩みの本質を自己分析し、自身に適したケアを選択することは、非常に難しいということです。おとなが悩みを共有し、児童・生徒に寄り添いながら選択のサポートをしてあげることが必要です。そのためには、児童・生徒がおとなに気軽に相談をできて、おとなが豊富な選択肢への橋渡しをしてあげられる環境を用意することが重要です。
早期発見・早期対処
早期発見に有効な手段の1つとして、児童・生徒の心と身体の定期健診があげられます。
心と身体の健康状態を日々の簡単なアンケート形式で記録することで、自身でも気がつきにくい心と身体の状態変化を早期に察知しやすくなります。
「これまではアンケートで5点満点が続いていたのに、最近は点数の低い日が出てきている」など。
日ごろから自身や身近な大人と結果を振り返ることで、不調を早期発見し早期に改善することにつなげることができます。
大切なことは、日々の記録と振り返りによる予兆の察知です。
しかし、不調を早期発見するだけでは不十分です。不調は不登校の小さな種です。
小さな種を見つけたら、大きくなってしまわぬよう、早期対処が必要となります。
早期対処に有効な手段の1つとして、こどもがおとなへ気軽に相談できる環境を用意することがあげられます。
自分ひとりで解決できないような悩みやトラブルはもちろんですが、些細なモヤモヤも外へ吐き出すことで、小さな種が大きく育ってしまわない対策になります。大切なことは、こどもがおとなへ気軽に相談できる環境を準備し、解決に向けたサポートを行うことです。
まとめ
題や悩みが大きくなってしまい不登校になってしまうと、その対処は一筋縄ではいきません。
不登校になってしまった児童・生徒とは、接点を持つこともままならならず、どうしても対処療法となってしまうケースが多くなります。
まずは、不登校対策として、「不登校」を予防する仕組みづくりを検討してみることはいかがでしょうか。